晩飯にヨメがお好み焼きを作った

というか適当に有り物の具を刻んで粉と水と混ぜて焼いただけのものだがな。
それを食ってる長女ヨメが「それ、ソースもっとかけたげよか?」と尋ねた。
長女答えて曰く「何に?」
ヨメもう怒りつつ「それによ!」
長女もまた怒りながら「だからそれって何!?」


まあうちではワリとよくある光景だ。どうもヨメ長女というのは、よくこういう何でもないことからケンカになる。
とはいえ今回のはあんまりにもあんまりだ。今回のはかなりわかりやすいから、ちと説教することにしよう。
「お前らええ加減にせえよ。どっちもどっちやろが」


「まずな[長女]、“こそあど言葉”ってまだ習ってないか?」無言で首を傾げるジェスチャー
「もう3年生やしまだやとしてもそろそろ習うと思うけど、普通“これ”って言うたら自分の持ってるもの、“それ”って言うたら話しかけてる相手が持ってるもののことを指すもんなの」「そうなん」
「そうなの。だからお母さんが[長女]に“それ”って言うたときの“それ”って言うたらそのとき[長女]が食べよったお好み焼きのことに決まっとるの」「ふーん」
「ふーんって。お父さんもね、[長女]と話しよって“これ”とか“それ”とか言うたら“それって何のことー?”とか言われてちょっとイラッとすることあるよ。ちょっと気をつけよな」「んー」
返事はこんなだけど、ちゃんとわかってんだ長女は。これからそれなりに気をつけてくれるだろう。
むしろ問題はヨメの方だ。


「ていうかお母さんもやな」「え、あー」
「最初“それ”って言うて“何に?”言われたのに何でまったく同じに“それによ”としか言えんかな」「あ?あー」
「例えば“そのお好み焼きによ”とかよ。同じ言うにも現物のお好み焼きを指差しながら“それによ”て言うたってええんぞ?」「はー」
おれがお前の言うことに腹立てることあるのも、そういうときが多いと思わんか?」「えー?ほうかいねえ」
どうもイマイチ理解してくれてる感じはしないが…。


「まーともかくオマエラふたりともどっちもどっちなんよ。
もうちょっとお互いよ、[長女]は相手の言うことがどういうことか、もう少しだけよく考えなさい。
お母さんは自分の言いたいことがどう言えばちゃんと相手に伝わるか、もう少しだけよく考えなさい。っていうかせめて伝わらんかったときすぐイライラすんの、ちょっと我慢してくれや」
ふたりともムッとしていたが、とりあえずふたりのケンカは免れたからよしとしよう。