長女タンは人食いアザラシの夢を見るか?

帰宅したらヨメがえらく狼狽した様子で必死に長女に何かを訴えていた。
どした?と尋ねてみた。


図工の時間に「粘土で“夢の動物”を作りましょう」というのをやったらしい。夢の、つーか要は空想の動物だな。
で、いつも「シナモン」みたいに耳で空を飛べるウサギとかよく話してんだからそういうのを作ればいいものを、ヨメの「それで何作ったん?」の問いに長女が作ったと答えたのが

  1. 人食いアザラシ
  2. 毒リンゴ
  3. 包丁を持って自殺しようとしている人

だと。
ヨメは何をどこからどう突っ込めばいいのかわからなくなって、もう何もかも全否定するようなことばかり断片的に口から出るに任せて喋り捲り始めたところにおれが帰宅した、ということらしい。


まあさすがにおれも面食らった。これだけ聞かされたら、多分ヨメの脳裏にも「バモなんとか神」とかそういう電波系のソレが浮かんで、だからああいう状態になっちゃったんだろう。
けどこういうときこそ冷静にならんとな。全否定はまずい。それこそ何が悪いことなのか、わかってもらえなくなる。まあそもそも“夢の動物”っつーときにそのラインナップは何よオマエ空気読め!てのはあるが、ここで叱らんといかんとこはそこじゃないよな。


「お母さんも長女も、まずこっち来て座りなさい」おお!ドラマの親父みたいだよおれ
「まずねー、“人食いアザラシ”って、何でそれ作ろと思たん?」
「……おもしろいと思って」
聞けばどうやらキモカワイイとかコワオモシロイとかそういう方向を狙いたかったということらしい。っていうか後で聞いたら隣の男の子もそういうヘンなの作ってたそうで、それに張り合ったというか一緒になって調子に乗っちゃったとかそういうことらしい。まーそんなこったろうと思った。
「じゃあ毒リンゴも面白いと思ったんやな」コクリ
「うんまあそのふたつはね。見せてもろたら面白いと思うかも知れん。」
「けどなあ、自殺する人いうんはどうやろうか。どんなに面白げーに作ってあっても、これは“自殺する人”です、言われたら嫌な気持ちしかせんな。それどころか、それを作ったんが長女や言われたらすごい悲しいよ」
人の死は面白がっていいことではないということ、まして自殺など持っての他だということ、などをできるだけ丁寧に説明した。ヨメもどうやら納得してくれたようだ。何とか落ち着いたな。


長女が言った。
「けどねー、ねんどで作ったらほうちょうには見えんかったみたいで、みんなラケットやと思ったみたい」
ならもうそういうことにしとけ!
どうせあとのふたつも説明されなきゃそういうモノだとはわからないような出来のブツに決まってんだぜwなんせおれの娘なんだからなwwwww