うち、ヤギ飼ってたよ

おれが16のときまでだから、もう20年余り経つけどな。あとおれが小学校上がる前くらいまではウシも飼ってた。一頭ずつ。さらにおれが生まれる前はウマも飼っていたそうで、県の品評会で銀賞もらったこともあるぞと、どちらかというと控えめな祖父ちゃんが、これだけは必ず自慢していた。
生まれる前のウマのことはともかく、祖父ちゃんは何しろこだわりの人で、ご近所では田植え機やらコンバインやらトラクターを買ったのも最後くらいの部類だったりしたし、ウシもだから農耕用だったのだろう。
ではヤギは何のために飼ってたかというと「乳を搾って飲むため」で、毎朝晩の食事にはカップに一杯絞りたて沸かしたてのヤギの乳が出てた。今となっては何と贅沢なことだろうと思えるが、おれはこのヤギの乳があまり好きでなかった。濃厚過ぎたんだよな、味が。ヤギの乳の豆腐なんてほんともう食えないだろなあ。
そういう目的で飼っていたためというのが一番の理由だと思うが、ヤギのエサは専ら新鮮な草だった。小学生時代遊びに来た友人に「ヤギて紙食うんやろ」と言われ、おれも好奇心から一緒になって紙を柵から差し入れたりもしてみたが、うちのヤギはそれを決して食べようとはせず、それでもしつこく食べさせようとしている所を祖母などに見つかってこっ酷く叱られたりしたことがある。


そんなことを、sanbo-nさんとこを見て思い出した。